トレンドが発生している相場は、大きな利益を上げるチャンスになります。とはいえ、「上昇トレンドで利益確定をする前に下落してしまった」、「下降トレンドで利益確定をする前に上昇してしまった」という経験をしたことのある方は多いのではないでしょうか。
例えば、上昇トレンドで逃げ遅れないためには、相場の天井を示唆するシグナルを見つけることが重要です。特に相場の高値圏では、上髭陰線（うわひげいんせん）が重要なシグナルになります。相場の天井や底を表すシグナルをしっかりと覚え、決済のタイミングを逃して損失を出さないようにしましょう。
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FXにおける上髭陰線とは？
上髭陰線は大きな上髭が特徴の陰線であり、売りの勢いが強いことが示唆されます。なぜなら、髭は長ければ長いほど「その方向に行くのをさまたげる力」が強いことを意味するからです。髭は相場の天井や底を見極める有効な手段となるため、しっかりと理解しておきましょう。
上髭陰線はローソク足の分類のひとつ
上髭陰線とは上影陰線（うわかげいんせん）とも呼ばれ、ローソク足の分類のひとつであり、大きな上髭のある陰線のことを言います。要するに、上髭陰線は高値が始値よりも非常に高くなっている陰線です。始値から大きく上昇したものの、最終的に激しく下落し、売りの勢いが強い状態で形成されます。
上髭陰線は、具体的には以下のようなパターンで作られます。
- 大きく上昇
- 大きく下落
- それを見たトレーダーが売ることでさらに下落
- またそれを見たトレーダーが売ることでさらに下落
このようにトレーダーの売りが連鎖することで激しい下落が起こり、結果的に上髭陰線が現れるのです。上髭陰線が上昇トレンドの高値圏で現れた場合、下降トレンドへの転換点になりやすくなります。なお、上髭陰線が現れたにも関わらず、上髭陰線の高値をローソク足が上抜けると「弱さを否定した」ということになり、上昇が継続する可能性があることに注意してください。
上髭陰線の同じ分類にはどのようなものがある？
上髭陰線と同じように長い髭を持つローソク足は他にもあります。暗記するのではなく、長い髭がローソク足の上下どちらに付いているかによって「買いの勢いが強いのか」、「売りの勢いが強いのか」を判断することがポイントです。また、高値圏や安値圏で出現した場合に、どのような意味になるのかを理解しておきましょう。
上髭陽線
上髭陽線とは上影陽線とも呼ばれ、大きな上髭のある陽線のことを言います。つまり、上髭陽線は高値が始値よりも非常に高くなっている陽線です。始値から大きく上昇したものの下落し、最終的に始値を少し上回ると形成されます。
上髭陽線の上髭は上値の重さを表しており、上髭陰線と同じく上髭陽線も上昇トレンドの高値圏で現れた場合、下降トレンドへの転換点になりやすいです。一方、下降トレンドの安値圏で現れた際は、依然として売り圧力が強いものの、買い勢力が出てきたことを示唆します。なぜなら、売りが一服し、大きな買いが出たものの売り勢力に押されて打ち消された形だからです。そのため、「そろそろ上昇トレンドに転換するかな」という警戒をしておくことをおすすめします。
下髭陽線
下髭陽線とは下影陽線とも呼ばれ、大きな下髭のある陽線のことを言います。要するに、前述した上髭陰線や上髭陽線とは異なり、下髭陽線は安値が始値よりも非常に低くなっている陽線です。始値から下落したものの大きく上昇し、最終的に始値を少し上回ると形成されます。
下髭陽線の下髭は下値の固さを表しており、その髭が長いほど反発が強かったことを意味します。下髭陽線は下降トレンドの安値圏で現れた場合、上昇トレンドへの転換点になりやすいです。一方、上昇トレンドの高値圏で現れた際は、終値が始値を上回っているとはいえ、非常に低い安値を付けてしまっているため、どちらかというと下に引っ張られる形での上昇と言えます。そのため、「そろそろ下降トレンドに転換するかもしれないな」と警戒しておくとよいでしょう。
下髭陰線
下髭陰線とは下影陰線とも呼ばれ、大きな下髭のある陰線のことを言います。つまり、下髭陰線は安値が始値よりも非常に低くなっている陰線です。始値から下落したものの大きく上昇し、最終的に始値を少し下回ると形成されます。
下髭陽線と同じく、下髭陰線の下髭も下値の固さを表しており、その髭が長いほど反発が強かったことを意味します。下髭陰線は下降トレンドの安値圏で現れた場合、下髭陽線よりは買い圧力が弱いものの、上昇トレンドへの転換点になりやすいです。一方、上昇トレンドの高値圏で現れた際は、終値が始値を下回り、さらに非常に低い安値を付けてしまっているため、買い圧力よりも売り圧力が強いと判断できます。そのため、下降トレンドへの転換を示唆するシグナルになるのです。
FXのローソク足チャートとは？
ローソク足チャートは、個々のローソク足で構成される単純なチャートで、トレーダーはプライスアクションを把握するために使用します。ローソク足のプライスアクションは、その期間の始値、その期間の終値の他、その期間の高値と安値を示します。
プライスアクションは、すべての金融マーケットのトレーダーにトレンドとトレンドの反転への手がかりを示します。たとえば、一連のローソク足は、FXチャートのところどころでパターンを形成し、トレンドの反転または継続を示します。ローソク足はマーケットにおける売りまたは買いのエントリーを示唆する固有のフォーメーションを形成する場合もあります。
各ローソク足が示す期間は、トレーダーが選択した時間足により異なります。一般的な時間足は日足で、ローソク足は1日の始値、終値、高値、安値を示します。マーケットの先行きを占う上で役立つもう一つのローソク足の要素は、たとえば終値が始値よりはるかに低いと、さらなる相場の下落を示唆する場合があります。
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ローソク足チャート上のローソクを解釈する
下の図は、典型的なローソク足を表しています。ローソク足を作成するには3つのポイント(始値、終値、髭)を使用します。検討すべき最初の点は、ローソク足の始値と終値です。これらの点は、選択した期間の開始と終了の時点における価格を表し、ローソク足の実体を構成します。各ローソク足は、チャートで選択した一定期間における価格の動きを表します。日足チャートを見る場合、各ローソク足はその日の始値、終値、上髭と下髭を表示します。
始値:
始値は、新しいローソク足の形成期間中における最初のトレードの価格を表します。価格が上昇している場合、ローソク足は緑/青で表示されます(色はチャート設定により異なります)。価格が下落している時には、ローソク足は赤で表示されます。
高値:
上髭（上影）の先端が、期間中にトレードされた最高値を示しています。上髭(上影)がない時は、陰線の始値または陽線の終値がトレードされた最高値であることを意味します。
安値:
期間中にトレードされた最安値は、下髭(下影)の先端が示し、下髭(下影)がない時、最安値は陰線の終値または陽線の始値と同じになります。
終値:
終値は、ローソク足の形成期間中の最後にトレードされた価格を表します。終値が始値よりも低い場合、ローソク足は赤で表示されます(一般的なチャートパックの初期設定の場合)。終値が始値よりも高い場合、ローソク足は緑/青で表示されます(チャート設定により異なります)。
髭・ヒゲ:
ローソク足の次に重要な要素は髭です。これは「影」とも呼ばれます。これは、特定のチャート期間における価格の最高値と最安値を示すため重要です。髭は、ローソク足の実体よりも細く書かれるため、すぐに特定できます。これが、ローソク足の長所でもあります。ローソク足はトレーダーに、価格の極端な変動ではなく、マーケットの動きに目を向けさせます。
方向:
相場の方向は、ローソク足の色で表現されます。ローソク足の終値が始値よりも高い場合、価格は上昇中で、ローソク足は緑で表示されます(ローソクの色は、チャート設定により異なります)。ローソク足が赤の場合、終値が始値よりも低くなっています。
変動幅:
高値と安値の差が変動幅です。これを計算するには、上髭の上端の価格から下髭の下端の価格を引きます(変動幅 = 最高点 – 最低点)。
ローソク足に関して知識を持ち、それぞれのポイントが何を示すかを知ることは、ローソク足チャートを使用するトレーダーにとって、特にトレンドライン、価格パターン、およびエリオット波動を特定する際に、明確な優位性をもたらします。
FXのトレーダーが上髭陰線などのローソク足チャートを使用する理由
FXのトレーダーが、上髭陰線などのローソク足チャートを使用する理由はシンプルです。世界的に最も一般的なチャートの形式はバーチャートとローソク足チャートであり、共に高値、安値、始値、終値の四本値を表します。とはいえ、下の図から明らかなように、ローソク足チャートはバーチャートと比べて明確な優位性をもたらします。バーチャートはローソク足チャートほど視覚的ではなく、ローソク足のフォーメーションや価格パターンを提示しません。また、バーチャートでは、どの方向に価格が動いているかを視覚化することは困難なのです。
ただし、ローソク足チャートは上昇と下落が自然と目に入ることになるため、「陽線の次は陽線、陰線の次は陰線が続くのではないか」と意識してしまうトレーダーがいるようです。そのため、おすすめのチャートはローソク足チャートになりますが、「チャートはあくまで道具」として、自分に合ったチャートを選ぶとよいでしょう。
FXのローソク足チャートの見方
ローソク足チャートを使用する方法や読み取る方法は数多くあります。ローソク足チャート分析は、希望のトレード戦略と時間足により大きく変化します。ローソク足形成を活かそうとする戦略も、価格パターンを認識しようとする戦略もあります。
1本のローソク足の形成を解釈する
個別のローソク足は、現在のマーケットセンチメントについて多くの洞察を与えてくれます。ハンマー、流れ星、ハンギングマンなどのローソク足は、動きの変化や今後の相場のトレンドについてのヒントを提供します。
下の図からわかるように、ハンマーの形成は、トレンドの反転を示唆する場合があります。ハンマーは実体が短く、長い下ヒゲがあります。終値は始値より上にあります。ハンマーが形成される背景はシンプルです。相場を下げようとする動きに対し買い手が押し返し価格が上昇しました。これはマーケットへのエントリー、ストップロスを狭くする、またはショートポジションの手仕舞いの強気のシグナルです。
トレーダーはハンマーのローソクが引けたところで、ロングでエントリーをすることでハンマーを活用することができます。ハンマーは「狭い」ストップロスを(小幅のピップスをリスクにさらすストップロス)の実行に利用できます。テイクプロフィット(T/P、利幅を確定する決済指値)はリスクリワード比率を確保する形で設定してください。リスクリワード比率を確保した場合、テイクプロフィットの値幅はストップロスの値幅より大きくなります。
さまざまなローソク足の価格パターンを認識する
ローソク足チャートは、トレーダーがチャートで発生する価格パターンを認識する助けとなります。陽の包み足（線）パターンやトライアングルパターン(三角保合い)を認識したら、それをマーケットへのエントリーやエクジットに利用することができます。
たとえば下の図には陽の包み足の価格パターンがあります。陽の包み足は陰線（赤）と陰線全体を「包み込む」陽線（青）の組み合わせです。これはこの通貨ペアがそれまでの弱含みの展開から抜け出ることを示唆しています。トレーダーは陰線が引けた後、ロングポジションをエントリーすることによりこれを利用できます。価格パターンは2本目のローソク足が終了した後でのみ形成されます。
ハンマーの場合と同じように、トレーダーは陽の包み足パターンの下にストップロス（損切の決済逆指値）を設定し、狭いストップロスを確保します。それからテイクプロフィット(T/P、利益確定の決済指値)を設定します。FXのローソク足チャートについての詳細は、当社のローソク足ガイドをチェックしてください。ローソク足チャートの利点に関する詳細や、それらを使用して実行できる戦略について詳述しています。
まとめ
ローソク足は、基本中の基本かつ一生使えるテクニカル分析です。特に、長い髭は価格が極端に動いた結果を示すものであり、買い圧力や売り圧力を判断し、高値圏で天井、安値圏で底を見極めるのに非常に役立ちます。勉強のように、全てを暗記する必要はありません。実際のチャートを見て、特徴的なローソク足を見つけたら本記事を見返し、徐々に慣れていきましょう。またローソク足に慣れてきたら、他のテクニカル指標も加え、さらに分析の精度を上げるようにすることをおすすめします。